アパレル業界のECサイト運営を検証してみた「過去の動きから今後の動向を予想」

アパレル業界のECサイト運営を検証してみた「過去の動きから今後の動向を予想」
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現在、アパレル業界(ファッション業界)のEC(エレクトロニック・コマース=電子取引)は非常にホットな状態にあり、市場の動向に注目が集まっています。

この記事では、これからECサイトへの参入を考えているアパレル業界経営者や担当者に向けて、2020年のアパレルECの市場規模や情勢を予想しつつ、2019年の売り上げ上位企業の紹介、ECサイトのメリット・デメリットなどをわかりやすく紹介していきます。

目次

<2020年度>アパレルECサイトの市場規模

この項目では、まず今後のアパレル業界のECサイトの市場規模についての予想を紹介していきましょう。

アパレルECの成長について

2000年代に入ってから国内で増え始めたアパレルECは、2010年代に入って顕著に売り上げを伸ばしてきました。経済産業省の発表によると、2014年に約1.3兆円だった市場規模は、毎年1,000億円程度ずつアップしており、2018年には約1.8兆円に迫るところまで来ました。

さらに2020年には総売上が2.6兆円に達すると言われていますから、全体としては苦戦が続くアパレル業界の中でEC分野だけは劇的な成長を遂げていると言えるでしょう。

オムニチャネルの利用で店舗誘導のハードルが下がっている

現在でも多くの店舗がオムニチャネルを利用したECサービスを展開しており、特にサイト購入した商品を店舗で受け取るスタイルは多くの顧客に積極的に活用されています。

オムニチャネルとは顧客への販売を店舗のみ、ネットのみといった限定した方法ではなく、SNSなどを含む複数の方向から行う施策で、電子商取引の方法のひとつです。近年のスマホなどのツールの浸透度やAI、ビッグデータ技術の向上もあって、BtoCの戦略上でも大きく注目されています。

アプリでの購入から配送のみというシステムだけでなく、店舗に誘導することには、大手・個人店などの規模によらず大きなメリットがあります。ユーザーは実店舗に来れば、コーディネートの見本を見るなどして購買意欲が上がりますし、試着してサイズを確認した上で購入することで通販特有の返品のわずらわしさから解放されるなど、顧客満足度アップにつながる傾向にあるからです。

「O2O」の仕組みで集客アップに成功することが可能

「O2O」とはOnline to Offlineの略で、スマートフォンなどのオンラインの情報からオフラインである実店舗やイベントに誘導するシステムです。

例えば、自社のアプリをスマホにインストールした顧客が入店しただけでイベントや最新商品の情報をデータで提供できるなど、リアルとネット空間をうまく連携した運営が成功の要因や課題解決のカギとなっています。

アパレル業界のECへのシフトについて

イラスト-ビジネスのシフト

ここではアパレル業界のEC化へのシフトがどのような流れで起こっているのかを紹介していきましょう。

アパレル業界全体での傾向

1990年代から日本が直面しているデフレの波は、アパレル業界にも大きく影響しました。低価格の商品しか売れない傾向が続き、業界全体の下落が止まらない中で、1990年代初頭には15兆円以上あった国内のアパレル市場は2010年までに10兆円程度まで下がっています。

その中で2010年以降に明るい兆しを見せているのが、ECサイトによる売り上げです。ECサイトはサイト構築を業者に依頼することで、大手や小規模経営などの規模によらず導入しやすいという特徴があり、実店舗とのサービス統合も可能なことから、業界全体に確実に受け入れられている業務形態です。

アパレル業界のEC化の事例

アパレル業界のEC化にもさまざまな形が見られます。例えば「モール系」と呼ばれるZOZOTOWNや楽天市場などは、多数のブランドを扱うことでサイト上にショッピングモールのような世界を構築しています。

モールECへ手数料を払う必要はありますが、自社の力のみで認知されることが難しい中小企業にとってはEC参入が比較的しやすいという面もあります。

また、メーカーやブランドが直接運営しているECサイトもあります。モール系と違って手数料を収める必要が無く、独自のサービスやイベントが実施できるというメリットがあります。ユーザーにとってもブランドのファンとして利用しやすく、店舗に足を運んでコーディネートやサイズを自分の目で確認した上で購入できたり、在庫を取り置きしてもらえたりするなどの魅力があります。

EC化で必要なマーチャンダイジングについて

実店舗でもECサイトでも、小売業ではMD(マーチャンダイジング)が重視されます。

マーチャンダイジングは「品揃え」という意味でつかわれることが多いですが、商品展開の時期や価格設定、仕入れ数、販売のための仕組みの整理など、小売業で物を売るための仕事・戦略の多くを含む言葉でもあります。

ECサイトは市場として活性化していますが、構築すればすぐに利益が上がるというものではなく、実店舗と同様にどのように売っていくかが重要です。商品構成、見せ方、価格設定、供給数の判断などに加えて、トレンドや市場のニーズを見ること、長期、短期での商品展開、自社のイメージやターゲットユーザーの傾向を踏まえた戦略が要求されます。

また、ECサイトでは顧客の情報が多く得られるだけに、顧客自身や顧客満足度を中心とした展開が求められます。このような考え方をCRM(Customer Relationship Management)=顧客管理と呼び、ECサイト化を進める上で重視される要素のひとつです。

CRMでは、単に顧客の情報を保有するだけでなく、見込み顧客や新規顧客に適切なコミュニケーションをとって優良顧客に育てていくことが求められます。

女性アパレルブランドの飛躍はMDに支えられている

アパレルECで躍進している企業の中には、女性ユーザーに特化したサイトが多く見られます。比較的低価格な商品を中心に展開するSHOPLIST、coca、RE:EDIT、大人の女性に向けた品揃えで勝負するDoCLASSE、Fillilなど、それぞれがマーチャンダイジングにしっかり取り組んでいるからこそユーザーに受け入れられていると言えるでしょう。

また、購入だけでなくレンタルサービスをウリにしているエディストやairClosetなど、独自色を打ち出すのもMDの重要な役割です。

MDとCRMを迅速に形にするには管理しやすいシステム構築が重要

ここまで説明してきたように、ECサイトを運用して利益を上げていくには、MDやCRMを適切に行っていくことが重要です。

しかし、ECサイトの運営では商品展開や顧客管理に加えて、もう一点非常に重要なことがあります。それは、MDやCRMを即時に反映できるスピード感を持ったシステムを構築することです。せっかく作った方針を素早くECサイト内に反映させるには、サイトの構築が担当者レベルで分かりやすく行われており、扱いやすいものであることが欠かせません。

これを実現するカギとして、近年はCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の利用が重要な要素となっています。CMSについてはこの記事の後半で詳しく記載しますので、併せてご覧ください。

アパレル業界ECサイトの売上高

イラスト-黒板の棒グラフ

アパレル業界全体でのECサイトの売上高は2020年には2.6兆円にも到達すると言われており、目が離せない分野です。

この項目では、アパレル業界での2019年のECサイトによる企業別の売上高を、ランキング形式で紹介していきましょう。

第1位:ユニクロ

ユニクロは2018年度の決算で売上高を832億円と発表、2年連続の1位に輝いています。この数値は前年度と比較すると32%も上昇しており、非常に堅調です。

第2位:アダストリア

アダストリアはLOWRYS FARMやGLOBAL WORKなどを展開している会社です。年間で405億円を売り上げており、前年比16%増加、ランキングでは4位からアップしています。

第3位:ベイクルーズ

IENA、JOURNAL STANDARD、Spick and Span、EDIFICEなどのブランドを持つベイクルーズは、前年度比18%アップで、順位としては前年同様に3位に入っています。売り上げは395億円でした。

4位以降は一気に紹介しましょう。

前年5位から1ランク上がってTISホールディングスが4位、5位は11位から大きく順位を上げたワールド、前年度2位の千趣会は6位でした。

ECサイトのメリット・デメリット(課題)

写真-メリットデメリット

ここからは、ECサイトを導入することのメリットとデメリットを紹介しましょう。

ECサイト導入のメリット

ECサイト導入には多数のメリットがありますが、大きく言うと以下の3点が挙げられます。

ユーザーが場所や時間を選ばず買い物ができる

一般的にアパレルショップの実店舗は日中を中心に開店していますから、昼間仕事をしている人は休日などにしか来店できません。しかし、ECサイトであれば通勤中や休憩時間、深夜でも買い物ができますから、多くのユーザーにとって大きな利点があります。

もちろん店舗側にとっても、24時間いつでも買い物をしてもらえるメリットがあります。

店舗スタッフが必要ない、または店舗が必要ない

ECサイト上だけを展開するのであれば、店舗や店頭のスタッフが必要ないというメリットがあります。

ただし、ECサイトは立ち上げた後も運営するためのマンパワーが必要なので、トータル的にヒューマンリソースが不必要ということではない点は認識しておきましょう。

顧客の情報を取得、活用できる

ECサイトは閲覧時に顧客情報を無理なく取得できるメリットがあります。これは実店舗でカード会員になることと一見似ていますが、閲覧した商品の情報が得られますし、キャンペーン情報などを送りやすいなどの点で圧倒的に優れています。

ECサイト導入のデメリット

ECサイトにはデメリットや課題点もあるので表記しておきます。

ECサイト上ではサイズや色味が判断しにくい

服や靴などアパレル商品全般に言えることですが、ネット上で購入した商品は実際に届いてみると、思ったものと色味や着心地が違うという場合があります。また、サイズに関するミスマッチを防ぐことも難しく、顧客にとってはネガティブな体験として記憶されることも少なくありません。

実店舗がある場合は、取り置きして店頭で確認、試着してから購入してもらうことでこのリスクを低減できます。

価格勝負になりやすい

ネット上で買い物をする場合、価格の比較や別サイトへの移動が容易なので、ブランディングなどの確立が十分でない場合は消費者が格安店に流れやすい傾向があります。

また、Amazonなどの送料を取らないサービスを展開する大手には太刀打ちしにくいというのも課題です。

実店舗にはないトラブルが発生する可能性がある

商品を発送したのに集金ができない、レビューに言われのないクレームを書きこまれる…など、対面しないことによるトラブルが起こる可能性があります。

簡単に集客できるわけではない

単独のサイトでも、モール系のサイトでも、自社の商品がなかなか認知されないというデメリットは起こり得ます。

これを防ぐためにも、MDやCRMにしっかり取り組むことに加え、信頼できる業者や適したCMSでシステム構築をして、管理・運営しやすいサイトを作ることが非常に重要です。

ECサイトのシステム構築(CMS選定)

次に、ECサイトのシステム構築に必要不可欠な存在となっている「CMS」について解説します。

サイトのシステム構築を説明する上で重要なCMSとは

CMSは「コンテンツ・マネジメント・システム」の頭文字をとった言葉で、画像やテキストを入力していけば、専門知識がない人でも比較的容易にサイトを運営できるシステムツールのことです。

CMSを導入すれば、店舗や企業として必要な情報をWEBサイト上で比較的簡単に更新できますし、自動更新や日時を指定した予約投稿ができるなどの強みがあります。これによってコストが大幅に削減できますし、CMSが用意しているテンプレートを使って自社がイメージするデザインを簡単に素早く作ることができます。

さらに、構造上SEO対策もしやすくなるなどメリットが非常に豊富ですから、ECサイトを扱う企業ではCMSの導入は必須と言ってもよい状況になりつつあります。

ECサイト導入におけるCMS選定のポイント

ここまで説明したように、ECサイト事業に参入する企業にとってCMSの導入は欠かせない選択肢となりつつあります。そこで重要となるのが「どんなCMSを選ぶか」という点です。

前項で「CMS導入でサイトの運営が誰でもできるようになる」という趣旨のことを書きましたが、現実的には「PCをほとんど扱ったことがない人でもできる」ということでもありません。そのため、運営上社内の担当者のレベルに合わせた選定が必要になりますし、導入費用をどの程度かけられるかで選択肢も変わります。

また、ありがちなミスとして、普及度が高いCMSを導入すれば安心だろう、といった根拠が無い選択を行ってしまうことも少なくありません。「使用しているユーザーが多い=自社にとって使いやすい」とは限らないからです。また、普及度が高いCMSはトラブルシューティングが充実しているというメリットがありますが、裏を返せば脆弱性が発覚した際にハッキングなどのリスクにさらされやすいということでもあります。

このような点を考えれば、CMSを選択する前にまず行うべきなのは、「自社がどのようなシステムを構築して、どんな運営をしていきたいのか」をしっかり検討することです。

・ECサイトに何を求めるのか

・社内で管理するためのリソースはどの程度あるのか

・予算はいくらくらいかけられるのか

・セキュリティやサポートなどをどの程度必要とするか

これらをはじめとするさまざまな要素で、選定するCMSは変わってきます。

例えばECサイト向けCMSには、EC-cubeやMagentoなどがあります。自社が求めるものとそれぞれのツールの強みを理解して、適切な導入を行いましょう。

CMS選定と併せて確認したい、業者選びのポイント

前項で紹介したECサイト向けCMSは、どれを利用するにしても自社で0からサイト作成を行うことができます。テンプレートを利用するだけであれば、全てインハウスで開発することも可能でしょう。

しかし、テンプレートを利用せず、会社ごとに違うマーケティングや発注処理に合わせた使いやすいシステムを構築するのには、専門の知識が必要不可欠です。自社に適したCMSを選定し、かつ業務フローに則したシステムを構築できる人材があれば問題ありませんが、困難な場合はECサイトシステム構築の経験を豊富に持つ業者と協力して、後悔のないECサイト作成を行うようにしましょう。

また、テンプレートを使うとデザイン面が他社と横並びになる可能性もあります。アパレル業界はとくにサイトデザインが大切ですので、ブランドイメージをしっかりと汲み取って構築してくれる業者に依頼するのが望ましいでしょう。

まとめ

アパレルECサイトについて、発展の経緯や今後の展望、導入におけるメリット、デメリットをまとめました。

基本的にここ10年で堅調な伸びを示してきたアパレルECは、2020年もまだまだ伸びていく分野です。そのため、今からでもシステム構築に投資して参入する価値は大きいと言えるでしょう。

とはいえ、システム構築さえすればすぐに利益が上がるというわけでもありません。社内にMD(マーチャンダイジング)やCRM(顧客情報管理)のエキスパートを育てたり雇用したりする必要がありますし、システム構築そのものが、自社の強みを生かすものでなければなりません。そのため、ECサイト参入の際はCMS導入の可否も含めて、システム構築を依頼する業者をしっかりと選ぶことが非常に重要です。

弊社は、運営しやすく、訴求力の高いデザインを持ったECサイトの構築を数多く手掛けてまいりました。会社様によって違うUSPや業務フローを汲み取り、しっかりと反映できるCMS選定、サイト作成を行います。「ECサイトを新しく立ち上げようと考えているものの、どこに依頼すればいいかわからない」というご担当者様は、ぜひ弊社にお問い合わせください。

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