市場規模50兆円以上の「オムニコマース」とは?「様々な分野・業界別の具体例も紹介」

市場規模50兆円以上の「オムニコマース」とは?「様々な分野・業界別の具体例も紹介」
イラスト-オムニチャネル

ここ数年、マーケティング戦略に関する記事で高い確率で「オムニチャネル」や「オムニコマース」という言葉を見かけます。頻繁に使われる言葉なのでご存じの方も多いと思いますが、「何となく言葉としては使っているけど、実はよくわからない」というケースもあるのではないでしょうか?

オムニコマースは現在でも50兆円を超える市場に成長していますが、今後もさらに拡大を続けることが確実視されています。

そこで今回は、まずオムニコマースという言葉の意味を、オムニチャネルの意味もあわせ成り立ちからわかりやすく説明します。また、実際の企業での導入例をあげて成功の秘訣なども解説します。

マーケティングや経営に関わる方にとっては必須の知識となっていますので、ぜひ参考にしてください。

オムニコマースとは何か

この項目では、まずオムニコマースという言葉を説明するために、「オムニチャネル」とは何なのか、という点から整理、解説していきましょう。

そもそもチャネルって何?

写真-オムニチャネルを体現した男性

オムニチャネルという言葉全体を解説する前に、まず「チャネル」の意味について説明しましょう。

ここで言うチャネルとは、商品販売における小売り側とユーザー側の接点のことです。接点としては実店舗とECサイトの二つを思いつく人が多いと思いますが、通販なども販売チャネルとして考えられます。また、ネット上で売買が行われるときにも、会社や店舗のサイト上であることやSNSを介することもあります。このような接点全てがチャネルと呼ばれています。

オムニチャネルとオムニコマースの違い

上記を踏まえて、最初にオムニチャネルという言葉を説明しましょう。

「オムニ」は「あらゆる」という意味を持つ言葉で、使用できる複数のチャネル全てを顧客との接点に利用しようとする考え方です。2010年代に登場したオムニチャネル戦略は現在の販売業界で広く利用されています。

また、オムニコマースという言葉は、何らかの形でインターネットが介在するすべての消費形態を指す造語です。

オムニコマースとマルチチャネルの違い

販売上で小売りとユーザーを結ぶチャネルという言葉を含む用語として、「マルチチャネル」という単語もあります。

マルチチャネルとは、ターゲットユーザーに合わせて小売り側が販売チャネルを考える手法です。わかりやすく言えば、テレビの前にいることが多い主婦層に向けてアピールするテレビショッピング、実物を見てから店頭で購入したいと思う高齢者に対してはリアル空間の実店舗、スマートフォンの利用度が高い若年層向けに提供したいアプリやサービスならSNS、といった具合に相手の傾向を考えてチャネルを使い分けるというのがマルチチャネルです。

ユーザーを中心としてあらゆる接点を複合的に使うオムニコマースに比べると、マルチチャネルは個々の接点が独立していて、在庫管理などを個別に行わなければならないデメリットがあります。

オムニコマースのメリット

近年は何らかの商品を買ったりサービスを受けたりする際に、全てネット上で完結してしまうことも珍しくありません。また、ネットで見た情報で実店舗に行って消費を行うことや、実店舗で見たものをネット上で購入するなど、オムニコマースの手法を使った消費は既に日常に溶け込んでいます。つまり、消費者にとっては自分に合った商品・サービスとの接点の増加そのものがメリットとなるのです。

一方、販売側がオムニコマースを利用するメリットは、実店舗の売り上げ低下を防止するだけではありません。時代の流れとともにスマートフォンの普及率が拡大し、ビッグデータの利用が可能となったこと、AI技術の発展などで、更なる購買様式の変化が起こっています。

例えば、位置情報や顧客の過去の購買データなどが判ることで、顧客は自分の個性に合ったサービスを受けやすくなりますし、企業はターゲットを絞るなどして販売に繋がりやすい情報を提供しやすくなります。

オムニコマースの実例については後の項目で具体的に紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。

オムニコマースはどのように生まれたのか

写真-young-asian-woman-考える人

オムニコマースの原点とも言えるオムニチャネルが広く知られるきっかけになったのは、2011年のアメリカ、メイシーズという百貨店の経営施策が始まりと言われています。

当時、Amazonなどインターネット上で注文する買い物方法が普及してきたことで、百貨店業界は何らかの戦略的対応を迫られていました。

メイシーズは検討の結果、巨額のシステム投資を行い、販売店とECサイトを統合する取り組みを行いました。ユーザーが店舗でもサイトでも商品購入しやすい管理体制を作ったことによって、メイシーズは業績を回復させることに成功しました。

このことは世界中の多くの企業に注目され、日本でも2013年にセブンイレブンなどがオムニチャネルの導入を開始します。その後、時間の経過とともにオムニチャネルは戦略的に有効な手段として広がっていったのです。

オムニチャネルの導入によって、ユーザーはインターネット上で見た商品をいったん取り置きして、店舗で実物を確認してから購入したり、店頭で売り切れたために購入できなかった商品をネット上で購入したり、という新たなメリットを受けられるようになりました。

このような流れを受けて、最終的な購入だけでなく、商品やサービスの認知などで何らかの手法でインターネットが関連する消費の総称をオムニコマースと呼ぶようになりました。

オムニコマースの市場規模と実例

写真-スーツ姿で笑む男性

この項目ではオムニコマースの市場規模と実例について、具体的に例をあげて紹介していきましょう。

オムニコマースの市場規模は50兆円以上

2010年代から普及し始めたオムニコマースの市場は、わずか数年の間に大きく成長しました。2018年にはオムニコマース全体で56兆円以上、その中のECサイトの売上は19兆円以上にも発展しました。

この分野は2020年以降も堅調に伸び続けることが見込まれており、野村総合研究所の予測によれば、オムニコマース全体の消費は2024年に76兆円をこえ、BtoCのECサイトの市場は27兆円を超えると予想されています。

このように市場規模がまだまだ膨れ上がるという予想をもとに、現在もさまざまな企業がオムニコマースやECサイトの運営に参入しているのです。

実例1:資生堂

資生堂ではオムニコマースを利用した戦略として、美と健康に関する専門家による「Beauty&Co.」、総合美容サービス「watashi+」という2種類のサービスを展開しています。

Beauty&Co.では資生堂のブランド名をあまり前面に出さず、美に関連する情報発信を広く積極的に行っています。自社の商品を売るという従来の販売戦略ではなく、ユーザーのエクスペリエンスを高めることで化粧品などの市場そのものを拡大させようという動きです。

一方、watashi+の部分では資生堂の名前を全面的にプッシュしつつ、ネット上のセルフチェックから実店舗にユーザーを誘導するO2O(Online to Offline)の流れを構成しています。資生堂が本来持っている実店舗のビューティーコンサルタントのもとにユーザーが足を運ぶことで、ネット上の多数向けの情報ではなく、自分だけに向けたカウンセリングを受けることができます。

そのため資生堂としては顧客が満足感や納得感を持ったうえで売り上げアップが可能になるというシステムが構築されたのです。

実例2:セブン&アイホールディングス

世界的にオムニコマースによる売り上げ増が続く中で、セブン&アイホールディングスも2015年にこの分野に参入しています。「Omni7」という名称で全国の店舗とネットを連動させたのです。しかし、Omni7に関しては234億円の減損対象となって成功とは言えない状態でした。

この流れを受け新しいオムニチャネル戦略として、グループ会社各社からアプリをリリースし、顧客ごとにグループ会社の利用状況をつなげる「セブンマイルプログラム」を開始しました。 これはユーザーにスマホアプリを利用してもらいながら、顧客データを管理しつつ、サービスの質を追求するシンプルなシステムとして評価されています。

実例3: UNITED ARROWS

UNITED ARROWSはアパレル業界では比較的早い段階でネットと実店舗を連動させて、オムニコマースの波に乗ることに力を入れたブランドです。

現在では多くのショップが利用している、ネットから実店舗の取り置きや試着予約ができるサービスや、各店舗の情報連携を行って在庫状況を明瞭にすること、購入の実績データを利用した接客を展開することを率先して行ってきました。

このようにUNITED ARROWSがオムニコマースの流れに乗ることができた背景には、オムニコマース参入以前から顧客データの管理や利用を積極的に行ない、分析の技術を社内に構築していたことがプラスとなっているようです。

実例4:ABC-MART

スニーカーなどの販売で以前からその名を知られているABC-MARTは、オムニコマースの分野でもしっかりと実績を上げています。衣服以上にサイズ感の問題があり、試着の重要性が高い靴の販売ですから、ECサイトから実店舗に足を運んでもらうことが非常に重要です。

在庫をフル活用する戦略として、近隣に多数の店舗を出すドミナント出店を進め、ユーザーが欲しいサイズが店舗になかった場合、スタッフが素早く近隣の店舗の在庫を確認し、スタッフが自力で運ぶというアナログ的なサービスも織り交ぜています。

さらに近隣店舗でも在庫が無ければスタッフがタブレットから在庫確認し、ユーザーの自宅に商品を届けるなどのきめ細かいサービス提供が魅力となってユーザーの評価を得ています。

実例5:アカチャンホンポ

ベビー用品販売の大手であるアカチャンホンポは、ユーザーのニーズを細かく分析した上でのオムニコマース利用で確実に成果を上げています。

ベビー用品は子どもを持つ人たちにとって、店舗に訪れて商品を見る楽しみがあります。その一方で、ベビーカーやベビーラックなどの大きな商品を数多く扱っており、ユーザーは購入した後持ち帰ることが大変です。この問題を解決するために、実店舗で見て気に入った商品を店頭のタブレットから在庫確認し、自宅に届けるというサービスを展開しました。

これによってユーザーは店頭で商品を見て選ぶエクスペリエンスを得た上に、持ち運ぶ手間を解消することができて満足度アップにつながっています。

まとめ

オムニコマースという言葉について、オムニチャネルの意味を踏まえた上での成り立ちや、実際の使用例などを解説しました。初期にはAmazonなどの台頭によって危機に陥った百貨店が生み出した戦略だったオムニチャネルですが、わずか数年の間にビッグデータやAIに関連する技術が劇的に進歩したこともあって、今では販売戦略を考える上で必須のものになっています。

オムニコマースやECサイトを利用した市場は2020年以降も大きく成長を続けるという期待感があり、新規参入する企業も増え続けています。

いつの時代も販売やサービスで重要なのは顧客満足度の維持・向上です。オムニチャネルに関してはプラットフォームの構築や情報の配信に終始してしまう企業もありますが、成功のためには顧客に新鮮さや喜びを体験してもらうツールとしてとらえることを忘れないようにしましょう。

また、現状のオムニチャネルやオムニコマースが完成形というわけでもなく、技術の進歩や消費者の動向によって今後も変化していくことは間違いありません。マーケティングの担当者や経営、戦略に携わる方は正しい知識を習得して利益向上につなげていってください。

弊社は、WEBサイトやスマホアプリ開発などを通して、オムニコマースを意識したマーケティング戦略をお考えの会社様を手厚くサポートできる環境・ノウハウがあります。今後の展開についてお悩みの担当者様は、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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