DX銘柄から学ぶ、DX推進事例5選!成功のポイントとは?

DX銘柄から学ぶ、DX推進事例5選!成功のポイントとは?

2018年に経済産業省が発表した産業界のDX推進ガイドラインは、日本でDX(デジタルトランスフォーメーション)が広がるきっかけとなりました。急速に変化するビジネス環境の中で、企業が継続的に成長を続けていくためには、業務の効率化と生産性の向上が必要不可欠であり、その変革の手段としてDXと呼ばれるAI、IoT、ビッグデータなどデジタル技術を活用した変革が注目を集めています。

企業の業務変革を促進するDX施策について、業界別の推進状況や具体的な取り組み事例についてご紹介します。

 

1.DXの今

2004年に世界で初めてDXという言葉の概念が提唱されてから早20年近くが経ちます。日本では、2018年に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」をきっかけに産業界でのDXが広がっていきました。
さらに、社会と企業を取り巻くビジネス環境が急速に変化する中で、労働人口の減少・働き方改革・ダイバーシティやコロナ禍での人々の意識の変化が要因となりDX推進の流れにつながっています。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術やデータを活用して業務変革を起こし、製品やサービス、ビジネスモデルのみならず、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、自社の競争力を高めることを言います。IT化が特定の業務プロセスの効率化をするのに対して、DXは企業全体での変革を意味します。

 

近年では気候変動問題の重要性から、化石エネルギー中心の産業・社会構造をクリーンエネルギー中心の社会に変革するためのGX(グリーントランスフォーメーション)や、長期的かつ持続的な価値創出につなげるため、企業と社会を変革することを目指すSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)もDXと並んで必要不可欠な要素となってくると考えられています。GX、SXともに持続可能で環境負荷の低い社会の実現のための変革であり、それを実現するための手段がDXなのです。

 

DXを活用した企業や社会の変革は、多くの経営者が将来的な価値の創出のために必要性を感じており、取り組む企業は年々増加していますが、従業員規模の小さい企業や中小企業、サービス業界は予算や人手不足の問題から取り組みが遅れる傾向にあります。その中でも、実際にDXに取り組んだ企業は一定の成果を上げており、従業員規模1,000人以上の企業では7割、従業員規模100人以下でも5割が成果があったと回答しています。このことからも、企業のDX化を進めていくことが、企業変革の一歩につながることがわかります。

 

引用元:独立行政法人情報処理推進機構 DX動向2024

2.DX銘柄、攻めのIT経営銘柄とは

経済産業省では、産業界のDX推進に向けての施策を進めており、その一つとして、中長期的な経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を、「攻めのIT経営銘柄」として2015年から選定してきました。
2020年からは、東京証券取引所、情報処理推進機構と共同で、東京証券取引所に上場している企業の中から、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として選定しています。DX銘柄の選定は、目標となる企業モデルの波及や経営層への意識改革を目的としています。
次ではDX銘柄に選定された企業の中から、「金融業」と「不動産業」の取り組み事例をいくつかご紹介します。

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3.各業界での推進事例(DX銘柄選定例含む)

3-1.金融業界の取り組み

金融業界では、FinTech(フィンテック)に代表されるような、金融と技術を結びつけた革新的な動きにより、AIやビックデータ、ブロックチェーンなどのIT技術を活用したサービスが普及してきました。例えば、スマートフォンのアプリを使った金融取引が普及することで、金融サービスの幅が広がったこともFinTechの一例といえるでしょう。
これらを活用した業務の効率化、コスト削減や顧客サービスの向上、地域創生が実現しています。

  • モバイルデジタルサービスの開発(株式会社三井住友フィナンシャルグループ)

    三井住友フィナンシャルグループでは、社会のモバイルデジタルに対応するべく、銀行口座、カード決済、証券、保険という異なる会社の複数サービスを一元化して利用することが可能なモバイル総合金融サービス「Olive」を開発しました。顧客の管理方法を変更したことで店舗網のないお客様も呼び込み、サービス開始から約1年後の2024年には、契約件数200万件を突破しました。

    他にも、非金融事業と金融事業の垣根を越えたサービス展開をする中で、従来の銀行業務の枠にとらわれない「脱銀行」を掲げて、「デジタル子会社」と呼ぶ非金融事業子会社を累計10社設立しました。デジタル子会社全体で売上は50億円を超え、2025年度までには売上が150億円を超えるとみられています。
    【選定:DX銘柄2024】

    引用元:デジタルトランスフォーメーション銘柄2024

  • 投資機会の拡大(株式会社大和証券グループ本社)

    大和証券グループ本社は、提携先の銀行向けに金融商品仲介、相続や事業承継などのトータルソリューションビジネスの提供を開始しました。自社システムの一部をAPI経由で開放することで、迅速かつ低コストで自社と提携先銀行の一体的な利用を実現しています。このことでより広い範囲の利用客に対するアプローチができ、投資家のすそ野拡大につながりました。

    また、セキュリティ・トークンの流通市場となる私設取引システムの設計・構築に参加し、デジタル証券の取り扱いを開始しました。セキュリティ・トークンとは、ブロックチェーン技術を用いて有価証券をデジタル化したものです。このデジタル証券により、日本の投資適格不動産のうち、流動化の余地のある100兆円以上の資産運用の幅を広げることができる見込みです。

    社内では、従来AIを活用していたところをChatGPTを導入することで、業務の効率化につなげました。これにより生み出された累計5万時間をお客様サービスに充てています。
    【選定:DX銘柄2024】
    引用元:デジタルトランスフォーメーション銘柄2024

  • FinTechによる地域経済の活性化(東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社)

    東海東京フィナンシャル・ホールディングスでは、生成AIを活用した社内の業務効率化や、新たなツール(相続診断シミュレーションシステム、資産運用分析ツール)を活用した顧客サービスの質の向上、業務プロセスの変革を進めています。

    さらに、強みであるスマホ専業証券機能、デジタル通貨、ブロックチェーン技術等のFinTech機能を連携・発展させ、次世代向け金融サービスツールの拡充、アライアンスパートナーとの協業を推進しています。

    地域創生分野では、地域経済の活性化を目的とした「地域通貨(デジタル通貨)」の発行、デジタル通貨による企業間取引、給与払い、新たな資金調達手段の提供を進め、地域金融機関のDXや地域経済のDXにも貢献しています。
    【選定:DX注目企業2024】
    引用元:デジタルトランスフォーメーション銘柄2024

3-2.不動産業界の取り組み

不動産業界では、街づくりを担う側面から、取り組みが社会や地域経済に与えるインパクトが大きく、地域経済の活性化、生活者の生活環境の向上につながっています。また、コロナ禍を経て人々の意識が変わったことにより、対面型接客から非接触型のオンラインやVR内見のように接客面でもデジタル化が進みました。

  • オンライン物件の開発(東急不動産ホールディングス株式会社)

    東急不動産ホールディングスでは、コロナ禍以降、マンションの販売現場において来場者数を限定せざるを得ない状況が発生しましたが、デジタル空間にモデルルームをつくることで、お客様自身のデバイスからアクセス、シミュレーションできる仕組みを整えました。操作状況から興味の高いポイントを割り出して販売につなげたり、今まで拠点設営に必要だった資材の削減など環境負荷削減にも寄与しています。

    また、北海道ニセコにおける街全体の価値向上のプロジェクトでは、スキー場利用者の「朝一番のパウダースノーを滑る権利」というニーズに対応し、ブロックチェーン技術を利用したデジタルデータNFT(代替不可能なトークン)でこの体験の販売をはじめました。新たな収益源創出、地域振興・関係人口増加に貢献するための取り組みを進めています。
    【選定:DX銘柄2023】
    引用元:デジタルトランスフォーメーション銘柄2023

  • 顔認証サービスやロボット活用による街づくり(三菱地所株式会社)

    三菱地所では、建物や施設、サービスごとに異なる顔認証サービスを、ワンストップで利用できる顔認証サービス連携基盤を開発しました。三菱地所が運営する会員施設の入退室キーなど関連施設やサービスへの導入を開始しています。

    さらに、運営する施設の中でエレベーターやセキュリティなどの各種ビル設備とロボットを連動させ、施設で就業する方向けの飲食デリバリーサービスや、清掃・警備ロボットによる設備点検などを進めています。他にも、IoT搭載スマートホームや5Gインフラ整備にも取り組んでいます。
    【選定:DX注目銘柄2023】

    引用元:デジタルトランスフォーメーション銘柄2023

4.真のDX推進とは ~成功のポイント~

各業界での推進事例でご紹介した企業のように、DXを推進することは社内業務の効率化や、コスト削減、顧客サービスの向上、さらには新たなビジネスチャンスの創出や社会の発展にもつながり、ビジネス環境の変化にも強い組織となることがわかりました。
一方で、DXの取り組みをはじめたものの、うまく進まないといったケースもあるようです。その要因として、経営層によるDX理解の不足、人材不足、古いシステムからの脱却ができないこと、コストの問題などが挙げられます。
DX推進を成功に導くために必要な要素について、既にDXに取り組んでいる企業から見えてきた成功するためのポイントを見てみましょう。

 

~DX成功のポイント~

  • 経営層による戦略策定
  • 社内の意識改革
  • 人材育成、外部人材の活用
  • 業務プロセスの見直し
  • システム構築・データ構築
  • 中長期的な視点での推進

製品やサービスだけの変化ではなく、企業や組織を巻き込み、長期的で多岐にわたる変革が求められるのです。

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5.まとめ

経営においてDXを推進することで、中長期的な業務の効率化を進めるだけではなく、経済や社会に影響を与え、業界をリードする企業となることにもつながっていくことが様々な事例からもわかってきました。

自社の競争力を高めて持続的な経営につなげていくためにも、事例を参考に様々な視点で再度戦略の見直しをされてみてはいかがでしょうか。クロス・コミュニケーションでは、様々な業務変革の一端を担ってきました。一般ユーザー向けのアプリの開発だけでなく、企業で利用される業務アプリやシステムの構築の実績も多数ございます。

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株式会社クロス・コミュニケーション編集部

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