アプリマーケティングを成功に導くために(前編)

アプリマーケティングを成功に導くために(前編)

スマートフォンが世代を問わず広く普及し、企業が顧客との関係を構築し、競争力を高めるために、アプリは欠かせないコミュニケーションツールとなっています。しかし、アプリ市場は競争が激化しており、顧客の注意を引きつけることは容易ではありません。

本コラムでは、アプリマーケティングを成功に導くための6つの重要な要素をご紹介いたします。中でも、 ユーザーニーズの理解とデータ分析と改善について、役立つ具体的な手法についてお話いたします。

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アプリマーケティングとは

アプリマーケティングとは、自社で運営するモバイルアプリケーションを広め、利用者増加と継続利用(エンゲージメント)を促す活動のことを指しています。
2022年の新規モバイルアプリのダウンロード数は、前年比11%増の2,550億ダウンロード、モバイルアプリに費やした時間は前年比で9%増加し、過去最高の4.1兆時間となりました。アプリは、顧客とのタッチポイントや、エンゲージメントおよびロイヤリティの向上において、非常に重要なツールとなっていると言えます。
出典:data.ai 「モバイル市場年鑑2023

 

アプリマーケティングの主な目標は、アプリの可視性を高めること、ユーザーの関心を引きつけること、アプリのダウンロードやインストールを増やすこと、そしてユーザーエンゲージメントや収益を最大化することです。

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アプリマーケティングを成功に導くための6つの要素

アプリマーケティングを成功に導くためには以下の6つの要素が重要です。

  • A. ユーザーニーズの理解

    ユーザーのニーズや要求を正しく把握することは、成功の鍵となります。ターゲットユーザーの特性や行動パターンを分析し、彼らの欲求や課題を理解します。それに基づいて、アプリの機能や価値を最適化し、ユーザーの満足度を高めることが重要です。

  • B. データ分析と改善

    データ駆動のアプローチを取り入れ、アプリのパフォーマンスを定量化・評価します。KPIを設定し、ユーザーエンゲージメント、収益、アンインストール率などを追跡します。問題点や改善の余地を特定し、PDCAサイクルを適用して継続的な改善を行います。

  • C. アプリストア最適化 (ASO)

    アプリストアでの可視性を高めるために、アプリストア内での検索ランキングを向上させる必要があります。アプリの名称、キーワード、説明文、アイコン、スクリーンショット、紹介動画などを最適化し、検索ランキングやダウンロード数を向上させます。

  • D. ターゲットユーザーに対する的確なプロモーション

    アプリを効果的に宣伝するためには、ターゲットユーザーに適切なメッセージやコンテンツを提供する必要があります。適切なマーケティングチャネルを選択し、SNS、オンライン広告、他の企業やブランドとのパートナーシップなどを活用してターゲットユーザーにリーチします。最近ではSNS広告も有効です。

  • E. ユーザーエクスペリエンスの最適化

    アプリの使いやすさやユーザーエクスペリエンスを向上させることも重要です。ユーザーフィードバックを収集し、アプリの改善点を特定します。ユーザーの声に耳を傾け、パーソナライズされたコンテンツや通知、特典等を提供し、アプリの品質と満足度を向上させるための努力を行います。

  • F. 継続的なマーケティング活動

    ユーザーがアプリを継続して利用してもらうためには、継続的なマーケティングのPDCA活動が必要です。新機能のリリース、キャンペーンの実施、イベントの参加など、定期的なプロモーションを行い、ユーザーとの関係を維持します。

これらの要素を組み合わせて、戦略的かつ継続的なアプリマーケティング活動を行うことで、成功に近づくことができます。

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A. ユーザーニーズの理解

アプリマーケティングを成功に導くために重要な6つの要素のうち、ユーザーのニーズを理解することは非常に重要です。ユーザーのニーズの理解に役立つ具体的な手法をご紹介いたします。

ユーザーニーズの理解
  • ユーザー調査とフィードバックの収集

    ユーザーの意見やフィードバックを収集することは、ニーズを理解するための重要な手段です。ユーザーアンケートやフィードバックフォームを活用し、ユーザーがアプリに求める機能や改善点、不満点などを把握します。
    アプリのメニューにフィードバックフォームを組み込むことで、フィードバックの収集が容易になります。

  • ユーザー行動の分析

    ユーザーの行動データを分析することで、彼らのニーズや行動パターンを理解することができます。アプリ内のデータ、Web解析ツール、クリックストリームデータなどを活用し、ユーザーの利用パターンや優先事項を把握します。

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  • ユーザーインタビューとユーザーテスト

    数値データだけではどうしても仮説の域を出ないこともあり、ユーザーとの直接的な対話を通じて、利用目的や利用状況、ニーズなどを理解し、課題を可視化していくことが重要です。
    ユーザーインタビューやフォーカスグループを実施し、ユーザーの声を聞き、彼らの要求や期待を明確にします。また、ユーザーテストを通じて、アプリの使い勝手や機能の満足度を評価し、改善点を特定します。

  • 競合分析

    自社のアプリと同様の競合アプリを分析することも重要です。競合アプリの特徴や成功要因を把握し、ユーザーが他のアプリで求めている価値を分析します。これにより、自社アプリの差別化ポイントや改善の方向性を見つけることができます。

  • UXリサーチ

    ユーザーエクスペリエンス(UX)リサーチは、ユーザーのニーズを理解するために有用です。ユーザーの感情や行動に焦点を当て、ユーザーがアプリを使用する際の課題や満足度を調査します。ユーザビリティテストやヒューリスティック分析※1、ユーザーストーリーマッピング※2などの手法を活用し、ユーザーの視点を理解します。

  • 1:ヒューリスティック分析
    ユーザビリティの評価手法の1つで、改善提案を目的に、あらかじめ決められたヒューリスティック(評価基準)を用いてアプリのインターフェースの問題点を洗い出し、改善点を特定する手法。コンテンツの配置が適切かどうかやナビゲーションがわかりやすいか、操作が難しくないかなど、アプリの使い勝手を確認できます。
  • 2:ユーザーストーリーマッピング
    ソフトウェア開発やプロダクトデザインのプロセスにおいて、ユーザーの視点に立ったストーリーの作成や要件の整理を行うための手法で、プロダクトのビジョン共有や要件の整理、優先順位付け、開発の進行状況の可視化などに役立ちます。

これらの手法を組み合わせて、ユーザーのニーズを包括的に理解することが重要です。ただし、ユーザーのニーズは常に変化しているため、定期的な調査やユーザーとのコミュニケーションを継続的に行うことも大切です。

クロス・コミュニケーションでは、グループのクロス・マーケティングが保有する500万人超の大規模なパネルネットワークによる消費者データを活用し、様々なリサーチが可能です。また経験豊富なリサーチャーが、掘り下げたい課題に合わせて、より高度な分析を行った上でレポーティングいたします。

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B. アプリのデータ分析と改善

次に、2つめの重要な要素として、データ分析と改善についてお話します。ユーザーのニーズを掘り下げ、アプリの機能や価値を最適化するのと同時に、ストアからの自然流入やメディアまたはアプリ相互誘導などによる効果測定やユーザーのアプリ内での行動を分析し、次なる改善アクションにつなげていくことが重要です。

アプリのデータ分析と改善
  • パフォーマンス指標の追跡と分析

    アプリの成果やパフォーマンスを評価するために、重要なパフォーマンス指標(KPI)を設定します。例えば、ダウンロード数、アクティブユーザー数、売上、ユーザーエンゲージメントなどです。これらの指標を定期的に追跡し、アプリの成果やトレンドを分析します。

  • ユーザー行動の分析

    ユーザーの行動データを分析し、彼らのアプリ内での行動パターンを理解します。例えば、特定の機能の使用頻度やユーザーのアクションフローなどです。これにより、ユーザーのニーズや課題を把握し、アプリの改善点を特定することができます。

  • ユーザーフィードバックの分析

    ユーザーからのフィードバックやレビューを収集し、分析します。ユーザーの要望や不満、問題点などを把握し、改善の方向性を見つけます。フィードバックの内容や傾向を分析し、優先順位の高い課題を特定することが重要です。

  • A/Bテストやマルチバリアントテスト

    アプリの特定の要素や機能に対して、異なるバリエーションをテストすることで、最適な選択肢を見つけます。例えば、ランディングページのデザインやコールトゥーアクションの配置などです。テストの結果を分析し、ユーザーの反応や効果を評価し、最適なバージョンを選択します。

  • 競合分析

    自社のアプリと同様の競合アプリを分析することも重要です。競合アプリの特徴や成功要因を把握し、ユーザーが他のアプリで求めている価値を分析します。これにより、自社アプリの差別化ポイントや改善の方向性を見つけることができます。

  • 継続的な改善と最適化

    データ分析の結果を元に、アプリの改善点や問題点を特定し、改善アクションを起こします。例えば、ユーザーインターフェースの改善、機能の追加や削除、パフォーマンスの最適化などです。改善策を実施し、再度データを分析して効果を評価し継続的な改善を行います。

データ分析と改善は、アプリの成果やユーザーエクスペリエンスを向上させるための重要なサイクルです。データを適切に収集し分析し、その結果を元に意思決定を行い、改善策を実施することで、継続的な成長と競争力の向上を図ることができます。

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まとめ

この回では、アプリマーケティングを成功させるための6つの要素を挙げ、中でも ユーザーニーズの理解とデータ分析と改善について、役立つ具体的な手法について詳しくご紹介いたしました。

後編では、アプリストアターゲットユーザーに対する的確なプロモーション、ユーザーエクスペリエンスの最適化について、改めてご紹介いたします。

アプリマーケティングを成功させるためには、自社のアプリに興味があるユーザー、または既に利用しているユーザーのニーズや行動をしっかりと把握して、ユーザーが求める機能追加や、各ユーザーに向けて最適なマーケティング手法によってのアプローチを試み、PDCAサイクルをしっかりと回すことが重要です。

クロス・コミュニケーションでは、豊富なアプリ開発と運用の実績に培われた総合的なアプリマーケティングの支援が可能です。ぜひご相談ください。

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執筆者

株式会社クロス・コミュニケーション編集部

Cross Communication 株式会社クロス・コミュニケーション編集部

株式会社クロス・コミュニケーションのコンテンツ編集部。
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