AI(人工知能)とは何?AIの専門家がわかりやすく解説

AI(人工知能)とは何?AIの専門家がわかりやすく解説

AIという言葉は今や聞かない日はないくらい、日々の生活で耳にする事が増えてきているかなと思います。日常生活でAIが活用されている事例や、アプリなどは日々身近になってきており、AIが体調管理をしてくれたり、自身のスケジュール調整をしてくれる等、AIが日々の生活の中の一部として段々と根付いてきている印象があります。


それほど日々の生活に根付いてきている印象のあるAIですが、「AIとは何?」という最も基本的な質問をすると、すぐに回答を返せる方はほぼいない印象です。また、答えられる方に関してもその内容は人によってバラバラで解釈が違うのではないかと思います。そのように、AIという言葉は非常に曖昧な言葉でもあります。


本記事では、AIという曖昧性の多い言葉について、わかりやすく解説を行う事を目的とします。


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AI(人工知能)の定義

AI(人工知能)の定義は以下のように説明できます。

  • AIはコンピュータ上で動作し、人間の行動を人間に変わって行うもの

人間の行動を行う、コンピューター上のプログラム・・・ といった感じでしょうか?イメージが湧きにくいかと思うので、次に人間の行動について考えていきたいと思います

人間の行動とは

人間の行動とは何か?という事を考えてみたいと思います。AIが人間に変わって行う、人間の行動というのはより日常的なもので、「見る」「聞く」「話す」等の行為をさし、それらをもとに「音声認識」「画像認識」「自然言語処理」等のAIの要素技術が構成されています。


こういった行動は人間の五感と密接に結びついており、ある意味でAIは人間の五感を再現させるものという事ができるかと思います。なので、続けて人間の五感について考えていきたいと思います。

人間の五感について

Wikipediaによると人間の「五感」とは以下のように定義されています。

視覚:見る力


聴覚:聞く力


触覚:物に触って感覚を感じる力


味覚:味わう力


嗅覚:臭いを嗅ぐ力


『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』 2022年11月2日 01:58 UTC
https://ja.wikipedia.org

見る、聞く、話す等の人間の行動は全て、五感が元になり、人間の行動が行われます。これを踏まえて、再度AIの定義を確認してみます。

  • AIはコンピュータ上で動作し、人間の行動を人間に変わって行うもの

人間の行動は上記の通り五感が元になっています。つまりそれを人間の代わりに行うAIも、五感を元にして行動を行います。
※以下、AIの技術要素に関する言葉が出てきますが、それらは後ほど解説を行います。

AIの五感にあたるもの

それでは、人間に置き換えてAIの五感について考えていくと、AIの本質が何なのかが見えてきそうです。まずAIの技術要素について考えてみると、「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」等の要素があり、それらを人間の五感に(多少無理矢理)対応させると以下のようなマッピングになります。

  • 視覚:画像認識
  • 聴覚:音声認識
  • 触覚:センシング技術(センサー)
  • 味覚:研究領域
  • 嗅覚:研究領域

AIでは(今の所)「味覚」と「嗅覚」にあたるものは研究領域の段階であり、確立された技術がある状態ではありません(勿論、今後登場する可能性は非常に高いです)。


また、センシング技術は言葉の通りセンサーを使用するもので、他のAI技術とは少し趣が違うものとなりますが、自動運転技術などに用いられており、注目されている技術の1つです。


視覚、及び聴覚に関しては、それぞれ「画像認識」「音声認識」という形で要素技術が確立されており、それらは既に実用化された製品等が数多く存在します。


五感について少し強引にAIの要素技術とマッピングを行いましたが、これだけでは直接的な行動には繋がりません。歩く、喋る等、何らかの行動を起こすためには、人間の「意思」が必要であり、それがあって初めて行動に繋がります。


勿論、意思がなくても、何かしらの景色は目に入ってきますし、何かしらの音は耳に入ってきます。ただ、その場合はそれらの事から何かを得る事はありません。「意思」をもってそれらの行動をする事で、初めて意味のある行動となります。


それではAIにおける「意思」とはなんでしょうか?先程、意思をもって行動をする事で、初めて意味のある行動となる事をお伝えしましたが、それはAIにも同じ事が言えます。画像認識にしろ、音声認識にしろ、得られた結果から意思をもって、何かしらの「解釈」をする事で初めて有益な結果を得ることができます。


人間のコミュニケーションをAIで実現させる技術は「自然言語処理」と呼ばれ、AIの要素技術の中でも大事な技術となります。以下に自然言語処理についての解説を進めていきます。

AIのコミュニケーション

AIのコミュニケーション

上でお話をした通り、コミュニケーションは人間の生活において非常に大事な部分であり、それをAIで実現させるための要素技術が「自然言語処理」となります。それでは、誰かとコミュニケーションに必要な要素を少し整理してみましょう。以下のようになるかと思います。

  • 相手の話を聞く
  • 相手の話を理解する
  • 自分の考えを整理する
  • 言葉を発して自分の考えを相手に伝える

この中で特に自然言語処理が担当している部分は、特に「相手の話を理解する」という部分で、これに必要な技術が「意図解釈」と呼ばれる技術です。自然言語処理の場合、テキストになっている自然文章が対象になりますが、そのテキストの中身を意図解釈し、理解をする事が自然言語処理の中核です。

当社でのAIの活用方法に関して

今まで、人間の五感と対比させて、AIの要素技術の役割の解説を行ってきましたが、それでは実際に、当社ではどのようにAIを活用しているのかについて簡単に解説を行っておきます。


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自然言語処理を使用した人材マッチングAIの開発

当社では、AIの要素技術の中でも特に自然言語処理を用いた人材マッチングAIの開発に取り組んでおります。
先程、自然言語処理の紹介をした際に、AIのコミュニケーションを担うのが自然言語処理というお話をさせて頂きましたが、自然言語処理の役割は、会話のようなコミュニケーションに留まらず、自然文章(テキスト)の中から重要な情報を理解する事です。

人材マッチング

それでは、この自然言語処理がどのように人材マッチングAIに活用されているかについて簡単に解説を行います

エンジニアの職務経歴書の読み込みを自動化

エンジニアの職務経歴書は、プログラミング言語に関わる内容や、このドメイン特有の専門用語等が多いため、その業界の知識の無い人事担当などが経歴書を見ると、そのエンジニアがどのくらいのスキルをもっていて、過去にどういった経験を積んできたのかを理解する事は非常に難しくなります。

エンジニアの職務経歴書

よく、エンジニアの採用は非常に難しいというような事が囁かれていますが、その原因の1つに、エンジニア採用担当が、そのエンジニアのスキルを正しく理解していない事があるかと思います。
こういったエンジニア採用時のミスマッチはよく発生し、これが起こってしまうと、エンジニアがプロジェクトにおいて即戦力にならなかったり、エンジニアが望む仕事との乖離が大きく、せっかく採用を行っても早々にエンジニアが辞めてしまったりと、損失が非常に大きくなってしまいます。こういった事態を事前に防ぐために、エンジニアの採用時にはこういったミスマッチをなくす努力が必要になります。


採用の際に、エンジニアの職務経歴書から確認をしたい内容は、そのエンジニアのスキルや、関わったプロジェクトの種類や経験、プロジェクトマネジメント能力等のソフトスキル等、多岐に渡ると思いますが、その中でも、そのエンジニアの持つスキルと経験に関しては、採用後に関わるプロジェクトにも直結するため、非常に重要な項目となります。


エンジニアに必要とされるスキルや経験は、ドメイン知識が無い人には理解が難しい内容かと思いますが、定量化された情報であれば、自然言語処理でそれらの情報を抽出する事は可能なので、職務経歴書から必要なスキルを抽出するという部分を自然言語処理で実現しております。

求人票の内容の理解の自動化

エンジニアの職務経歴書に並んで、エンジニアの求人票もドメイン知識が無い場合、理解が難しい内容の1つかと思います。いくら良いエンジニアを採用できたとしても、そもそも求人の内容とあっていなければ、その採用は無駄に終わってしまう事が多いです。


前段の説明からお気づきかと思いますが、この求人票の内容を理解する部分にも同様の自然言語処理技術を活用する事ができます。これによって、求人票の求人の中で、必要な技術のエッセンスを抽出する事が可能になります。

エンジニアと求人の自動マッチング

エンジニアと求人のマッチングを人力で行う際は、担当者がその求人の内容を理解し、候補者のエンジニアの職務経歴書等を読み込み、内容の理解を行い、候補者の適性を判断し、書類選考を追加させるかどうかを決定するかと思います。

エンジニアと求人の自動マッチング

前段で解説したように、エンジニアの職務経歴書、及び求人票のどちらからも必要なスキル要件が抽出されているのであれば、それらを自動的にマッチングさせる方法もあるので、当社では、そのようなAIマッチングシステムの開発を行っております。


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まとめ

今回の記事では、人間の五感と対比を行う事で、AIという曖昧な言葉の定義を解説しました。その中で、当社が自然言語処理技術を活用して、開発に着手しているAI人材マッチングシステムの紹介をさせて頂きました。


AIマッチングシステムに関しては、別記事でより詳細を解説させて頂く予定です。

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執筆者

江口 天

EGUCHI TAKASHI 江口 天

執行役員

株式会社クロス・コミュニケーション

東京大学大学院修了後、NTT研究所で暗号アルゴリズムの研究開発に従事。
その後、ヨーロッパに渡り、ドイツ及び日本のマイクロソフトで自然言語処理エンジニアとして活動。その後、カナダのスタートアップに関わり、日本語の音声認識のアプリケーションを開発。日本に帰国後、主に国内の大企業に対するDXコンサルティング・アドバイザリーサービスを提供する株式会社MDIUを設立。同社で人材マッチングを自動化するAI、Lichtの開発を行う。
2022年12月よりクロス・マーケティング・グループに加わり、DX・AI領域における高度な知見を基に、グループの事業全体のDX化の推進やAIを活用したビジネスモデルの変革について牽引。